競馬場が変わるとタイムはどれだけ変わるかでは、競馬場によって勝ちタイムが大きく異なることを確認しました。コースが違えばタイムだけでなく、レースの「荒れやすさ」にも差があるのではないか。1番人気の勝率、勝ち馬の平均オッズ、3連単の配当と、複数の指標で比較してみます。
対象は2021〜2025年のJRA全レース(芝・ダート)です。
1番人気の勝率 — 波乱の頻度
まず、1番人気がどれだけ勝つかを見てみます。荒れる「頻度」の指標です。
| 競馬場 | レース数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 東京 | 2,646 | 35.7% | 55.9% | 68.0% |
| 阪神 | 2,437 | 34.7% | 54.0% | 66.7% |
| 札幌 | 828 | 34.4% | 53.9% | 65.6% |
| 函館 | 720 | 34.3% | 50.6% | 62.8% |
| 京都 | 1,507 | 33.9% | 53.7% | 65.2% |
| 中山 | 2,435 | 33.5% | 51.5% | 64.5% |
| 新潟 | 1,554 | 33.2% | 51.6% | 63.5% |
| 中京 | 2,208 | 32.7% | 51.8% | 65.5% |
| 小倉 | 1,512 | 32.0% | 51.1% | 62.5% |
| 福島 | 1,104 | 29.3% | 47.9% | 61.7% |
東京の35.7%から福島の29.3%まで、6.4ポイントの差があります。福島は連対率・複勝率でも最下位で、1番人気が最も信頼しにくい競馬場です。
東京は勝率・連対率・複勝率のすべてで1位。長い直線で後方からでも実力馬が届きやすく、順当に決まりやすいのかもしれません。
勝ち馬の平均オッズ — 波乱の規模
次に、勝ち馬のオッズで見てみます。荒れる「規模」の指標です。
| 競馬場 | 平均オッズ | 1番人気の平均オッズ | 1番人気が負けたときの勝ち馬の平均オッズ |
|---|---|---|---|
| 福島 | 11.1倍 | 2.86倍 | 14.5倍 |
| 小倉 | 10.5倍 | 2.81倍 | 14.3倍 |
| 新潟 | 10.4倍 | 2.79倍 | 14.2倍 |
| 東京 | 10.1倍 | 2.51倍 | 14.4倍 |
| 中山 | 9.8倍 | 2.63倍 | 13.6倍 |
| 中京 | 9.8倍 | 2.63倍 | 13.4倍 |
| 京都 | 9.2倍 | 2.58倍 | 12.7倍 |
| 函館 | 9.0倍 | 2.66倍 | 12.4倍 |
| 札幌 | 8.9倍 | 2.71倍 | 12.3倍 |
| 阪神 | 8.7倍 | 2.53倍 | 12.1倍 |
福島が11.1倍で最高、阪神が8.7倍で最低。ここまでは1番人気の勝率と同じ傾向ですが、ひとつ気になるのが東京の位置です。1番人気の勝率では全場トップの東京が、勝ち馬の平均オッズでは10.1倍と上位に入っています。
これはオッズの仕組みが関係しています。東京は1番人気の平均オッズが2.51倍と最も低く、人気が1頭に集中しやすい傾向があります。資金が集中する分、他の馬のオッズは押し上げられるため、1番人気が負けたときの勝ち馬のオッズが14.4倍と高くなります。
つまり、東京は「荒れる頻度は低いが、荒れたときの配当は大きい」という特徴を持っています。
3連単の平均配当 — 頻度×規模の総合指標
3連単の配当は、荒れの頻度と規模を自然にかけ合わせた指標と言えます。
| 競馬場 | レース数 | 平均配当 | 10万円超の割合 |
|---|---|---|---|
| 福島 | 1,104 | 153,610円 | 24.9% |
| 新潟 | 1,554 | 145,750円 | 24.6% |
| 中山 | 2,435 | 142,400円 | 21.5% |
| 小倉 | 1,512 | 135,939円 | 23.4% |
| 東京 | 2,646 | 133,237円 | 19.0% |
| 札幌 | 828 | 121,095円 | 19.7% |
| 中京 | 2,208 | 120,717円 | 20.5% |
| 京都 | 1,507 | 116,763円 | 20.5% |
| 函館 | 720 | 101,234円 | 19.2% |
| 阪神 | 2,437 | 99,604円 | 18.8% |
福島の153,610円に対して阪神は99,604円と、約1.5倍の差があります。10万円を超えるレースの割合も福島は24.9%と、ほぼ4レースに1回です。
東京はここでは5位と中間的な位置です。1番人気の勝率は高いため波乱の頻度は低いものの、荒れたときの規模が大きいため、3連単の配当としてはそれなりに高い水準になっています。
3つの指標を並べてみる
| 競馬場 | 1番人気勝率 | 平均オッズ | 3連単平均 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 35.7% (1位) | 10.1倍 (4位) | 133,237円 (5位) |
| 阪神 | 34.7% (2位) | 8.7倍 (10位) | 99,604円 (10位) |
| 福島 | 29.3% (10位) | 11.1倍 (1位) | 153,610円 (1位) |
福島はすべての指標で「最も荒れやすい」側に位置しています。阪神は逆にすべての指標で「最も堅い」側です。
東京は指標によって順位が大きく変わります。人気馬がコケる頻度は低いものの、コケたときの衝撃は大きい。「堅いレースが多いが、荒れるときは大荒れ」というのが東京の特徴と言えそうです。
まとめ
「荒れやすさ」には、人気馬が負ける頻度と、負けたときの配当の規模という2つの軸があり、必ずしも一致しません。
- 福島: 頻度も規模も最大。3連単平均約15万円で、4レースに1回は10万円超
- 阪神: 頻度も規模も最小。3連単平均約10万円
- 東京: 頻度は最小だが規模は中〜大。人気が1頭に集中しやすい構造が影響している
コースの形態(直線の長さ、小回りかどうか)やオッズの偏り具合など、荒れやすさの背景にはさまざまな要因が絡んでいます。単に「この競馬場は荒れやすい」と言うだけでなく、どう荒れやすいのかを意識すると、見え方が変わってくるかもしれません。
本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
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