競走馬のキャリアには大まかな流れがあります。どの馬も同じスタートラインに立ちますが、成績によってその後の道筋は大きく変わります。
生まれてからデビューまで
日本の競走馬は、北海道を中心とした牧場で生まれます。サラブレッドの誕生日は一律で1月1日と定められており、実際の誕生日に関係なく、同じ年に生まれた馬は同い年として扱われます。
生まれてから約1年半〜2年は牧場で育成され、その後トレーニングセンター(美浦または栗東)に入厩して本格的な調教が始まります。
デビュー(2歳)
競走馬がレースに出られるのは2歳からです。最初のレースは「新馬戦」と呼ばれ、まだ一度も走ったことがない馬だけが出走できます。
新馬戦は毎年6月頃から始まり、翌年の春先まで組まれます。ここで勝てなかった馬は「未勝利戦」に回り、勝ち上がりを目指すことになります。
2歳の時期にはすでに重賞レースも行われており、早い段階で実力を見せる馬は翌年のクラシックレースに向けて注目を集めます。
クラシック路線(3歳)
3歳は競走馬にとって最も重要な年と言えます。この時期にしか出走できない「クラシックレース」があるためです。
牡馬クラシック三冠
- 皐月賞(中山・芝2000m)— 4月
- 日本ダービー(東京・芝2400m)— 5月
- 菊花賞(京都・芝3000m)— 10月
牝馬クラシック三冠
- 桜花賞(阪神・芝1600m)— 4月
- オークス(東京・芝2400m)— 5月
- 秋華賞(京都・芝2000m)— 10月
三冠すべてを勝った馬は「三冠馬」と呼ばれ、競馬の歴史に名を刻みます。クラシックレースは一生に一度しかチャンスがないため、関係者にとって特別な意味を持つレースです。
古馬として(4歳以降)
4歳以上の馬は「古馬」と呼ばれます。クラシック路線を終えた馬は、天皇賞やジャパンカップ、有馬記念といったG1レースを目標に現役を続けます。
この時期になると、馬ごとに得意な距離やコースがはっきりしてきます。短距離路線、中距離路線、長距離路線と、それぞれの適性に応じたレース選択が行われます。
また、芝で結果が出なかった馬がダートに転向したり、地方競馬に移籍したりするケースもあります。
引退とその後
多くの競走馬は4〜6歳頃に引退します。引退後の進路は成績によって大きく異なります。
- 種牡馬 — 成績優秀な牡馬は繁殖入りし、次世代の父馬となる。G1勝ち馬でも種牡馬として成功するとは限らない
- 繁殖牝馬 — 牝馬は引退後に繁殖入りすることが多い。良血の牝馬は高い繁殖価値を持つ
- 乗馬・誘導馬 — 競馬場で出走馬を先導する誘導馬になる馬もいる
- 功労馬 — 大きな実績を残した馬は、牧場で余生を過ごすこともある
競走馬のキャリアは長くても数年です。その短い期間にどのレースを選び、どの舞台で結果を残すか。レースの背景にあるこうした文脈を知っておくと、一つひとつのレースの見え方が少し変わってくるかもしれません。