中央競馬のクラス分けでは、オープンが最上位に位置します。ただ、ひとくちにオープンクラスといっても、日本ダービーのような大舞台から地味なオープン特別まで幅は広いです。また、オープンに出走するルートも「3勝クラスを勝ち上がる」だけではありません。今回はオープンクラスの構造を整理します。
集計条件
- 対象期間: 2021〜2025年(5年分)
- 対象: JRA平地レース(障害レースを除く)
レースの格付け
オープンクラスのレースには、以下の格付けがあります。
| 区分 | 概要 |
|---|---|
| G1 | 最高格付けの重賞。日本ダービー、有馬記念など |
| G2 | G1の前哨戦に位置づけられるレースが多い |
| G3 | 重賞の中では最も数が多い |
| リステッド(L) | 重賞に準じる格付け。2019年に新設 |
| オープン特別 | 格付けのないオープンレース |
G1・G2・G3の格付けがついたレースを「重賞」と呼びます。格付けが上がるほど賞金も高く、出走馬のレベルも上がります。同じオープンクラスでも、G1のメンバーとオープン特別のメンバーでは実力差が大きいことも珍しくありません。
なお、国際的な基準では日本の一部のG1は「Jpn1」と区別されますが、ファンの間では広く「G1」と呼ばれています。格付けの詳細は JRA公式サイト で確認できます。
年齢カテゴリと斤量
オープンクラスのレースは年齢と斤量条件の組み合わせで構成されています。5年間のレース数を年齢カテゴリ別にまとめました。
| カテゴリ | レース数(5年合計) | 年間平均 | 平均出走頭数 |
|---|---|---|---|
| 3歳以上 | 514 | 約103 | 15.1頭 |
| 4歳以上 | 398 | 約80 | 15.0頭 |
| 3歳 | 265 | 約53 | 13.3頭 |
| 2歳 | 147 | 約29 | 11.1頭 |
年間で約265レースがオープンクラスとして施行されています。3歳以上と4歳以上を合わせた古馬のレースが約7割を占め、2歳限定はやや少なめです。2歳戦は時期が限られる(6月頃から始まる)ことと、まだ出走可能な馬が少ないことが影響しています。
斤量条件は年齢カテゴリによって傾向が異なります。

| 斤量 | 説明 | 主な使用場面 |
|---|---|---|
| 馬齢 | 年齢で斤量が決まる | 2歳戦、3歳クラシック |
| 別定 | 基準斤量+実績による加算 | G2・G3、リステッドなど |
| ハンデ | ハンデキャッパーが各馬に割り当て | 古馬の重賞やオープン特別 |
| 定量 | 全馬が同じ斤量 | 一部のG1 |
2歳・3歳では馬齢と別定が中心です。古馬になるとハンデ戦の割合が増えます。定量は主にG1で使われる斤量条件で、全馬が同じ重さを背負うため、純粋な実力勝負になりやすいとされています。
オープンに出走するための条件
競馬のクラスの基本で触れたように、馬のクラスは「収得賞金」で決まります。収得賞金が1,601万円以上になるとオープンクラスの馬と見なされます。
ただし、馬のクラスとレースのクラスは別の概念です。条件戦(1勝〜3勝クラス)は収得賞金で出走資格が厳密に区切られますが、オープンのレースはそうとは限りません。
条件戦を勝ち上がる
最もわかりやすいルートです。未勝利→1勝→2勝→3勝と各クラスで1着を取り、3勝クラスを勝てばオープンに昇級します。古馬がオープンクラスに上がる王道のルートです。
若い馬が重賞に出走する
2歳・3歳限定の重賞は、出走条件が年齢ベースで設定されています。たとえば朝日杯フューチュリティステークス(G1)は「2歳」、日本ダービー(G1)は「3歳」が条件です。
そのため、新馬戦を勝ったばかりの1勝クラスの馬でも、出走登録すれば重賞に挑戦できます。出走希望馬がフルゲートを超えた場合は収得賞金の多い順に選ばれますが、条件戦を勝ち上がっていなくても出走の可能性はあります。
収得賞金を積み上げる
収得賞金は1着で全額加算されるほか、重賞では2着で本賞金の40%、3着以下でも一定割合が加算されます(JRA公式サイト)。
たとえば未勝利を勝って1勝クラスに上がった馬が3歳重賞に出走し、そこで好走すれば収得賞金が大きく加算されます。結果として2勝クラスや3勝クラスを経ずに、収得賞金だけでオープン級に到達することもあります。
3勝クラスの馬がオープンのレースに出走して2着に入った場合も同様です。前走で勝っていなくても、収得賞金がオープン基準の1,601万円を超えればオープンクラスの馬として扱われるようになります。
データで見るオープンへの道
実際にどのルートからオープンに出走しているのかを確認します。2021〜2025年の5年間で、初めてオープンクラスのレースに出走した馬の前走クラスを集計しました。

| 前走クラス | 合計 | うち前走勝ち | うち前走勝ち以外 |
|---|---|---|---|
| 1勝クラス | 848 | 454(53.5%) | 394(46.5%) |
| 未勝利 | 814 | 722(88.7%) | 92(11.3%) |
| 3勝クラス | 738 | 619(83.9%) | 119(16.1%) |
| 新馬 | 678 | 642(94.7%) | 36(5.3%) |
| 2勝クラス | 90 | 56(62.2%) | 34(37.8%) |
3勝クラスから上がる馬は全体の約23%です。最も多いのは前走1勝クラスの馬で、これは主に3歳馬が3歳限定の重賞に出走するケースです。新馬や未勝利から直接オープンに出走する馬も多く、2歳・3歳の重賞がオープン初出走の場になっていることがわかります。
注目したいのは「前走勝ち以外」の割合です。1勝クラスでは約半数が前走を勝っていません。これは1勝クラスの馬が条件戦を勝ち上がらずに、3歳限定の重賞に出走したケースが大半です。3勝クラスでも約16%が前走未勝利で、収得賞金の加算などでオープンに出走しています。
古馬に限定すると
3歳以上・4歳以上のオープン(古馬のレース)に限定すると、構成は大きく変わります。
| 前走クラス | 前走勝ち | 前走勝ち以外 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 3勝クラス | 618 | 117 | 735 |
| 2勝クラス | 31 | 16 | 47 |
| 1勝クラス | 9 | 4 | 13 |
古馬では3勝クラスからの昇級が圧倒的に多く、そのうち約84%は3勝クラスを勝って上がっています。残りの約16%は3勝クラスから勝たずにオープンに出走しており、重賞での好走によって収得賞金がオープン基準に達したケースが含まれます。
ルート別のオープンでの成績
前走のルート別に、オープンでの成績(初出走に限らず全出走)を比較しました。

| ルート | 出走数 | 勝率 | 3着内率 |
|---|---|---|---|
| 新馬/未勝利勝ち上がり | 1,367 | 9.1% | 27.4% |
| 3勝クラス勝ち上がり | 997 | 8.9% | 26.7% |
| 1勝/2勝勝ち上がり | 735 | 8.4% | 26.3% |
| 前走もオープン | 13,944 | 6.8% | 20.2% |
| 3勝クラス(勝たず) | 255 | 5.1% | 16.5% |
| 条件戦(勝たず) | 770 | 3.9% | 14.8% |
条件戦を勝ってオープンに上がった馬は、どのルートでも勝率8〜9%、3着内率26〜27%と安定した成績です。前走で勝った勢いがそのまま続いているとも見えますし、勝ち上がれる実力がオープンでも通用しているとも考えられます。
一方、前走もオープンだった馬の勝率は6.8%とやや低めです。これはオープンクラスに定着している馬の中にも実力差があり、上位の馬と下位の馬が混在していることが影響しています。
前走を勝たずにオープンに出走した馬は、勝率3〜5%と厳しい数字です。条件戦のレベルで勝てなかった馬がオープンで好走するのは簡単ではないようです。
オープンクラスの馬はレースを選べる
条件戦の馬は自分のクラスに該当するレースにしか出走できません。1勝クラスの馬が2勝クラスのレースに出ることはできないわけです。
一方、オープンクラスの馬は条件(年齢、性別、芝・ダート、距離など)が合えば、G1からオープン特別まで、どのオープンレースにも出走を申し込めます。実際にどのレースに出走するかは、陣営が馬の状態や適性を考慮して判断します。
G1では出走希望馬が多いため、過去の成績や収得賞金で出走馬が絞られます。逆にオープン特別やリステッドは比較的出走しやすく、G1を目指す馬のステップレースとして使われることもあります。
このように、オープンクラスに到達した後も「どのレースに出るか」という選択が重要になります。格付けの高いレースで好走すれば賞金も大きく、その後のレース選択の幅も広がります。
本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。
関連記事
- 基礎知識月別に見るクラス分布の変化 — 2歳・3歳・4歳以上の1年JRA平地レースのクラス別出走頭数を月ごとに集計しました。2歳馬のデビューから3歳未勝利の終了、4歳以上の安定した構造まで、1年を通じたレース編成の変化を整理しています。
- 基礎知識競馬の「クラス」と条件を理解する中央競馬のクラス分けの仕組みと昇級の流れを整理します。
- 基礎知識レーティングとは何か — 馬の実力を数値化する仕組み競馬のレーティングは、各レースでのパフォーマンスを着差や負担重量から数値化した指標です。レースの格付け(G1・G2・G3)の審査にも使われるこの数字の仕組みと、国内外のランキングについて整理しました。