競馬中継で「レーティング123」のような数字を見かけることがあります。これは馬の実力を示す国際的な指標で、レースの格付け審査にも使われている重要な数字です。今回はレーティングの仕組みと、実際にどのような数値がつくのかを整理します。
レーティングとは
レーティングとは、競走馬がレースで発揮したパフォーマンスを数値化した指標です。着差や負担重量などをもとに、国際的に統一された基準で算出されます(JRA レーティング&ランキング)。
単位はポンド(lb)で、数値が大きいほど高いパフォーマンスを示します。世界各国のハンデキャッパーが同じ基準で算出するため、異なる国のレースに出走した馬同士を比較できるのが特徴です。
算出の仕組み
レーティングは各レースの後にハンデキャッパーが算出します。主に以下の要素が考慮されます。
- 着差: 勝ち馬と他の馬との差。大きく勝てば高い評価になる
- 負担重量: 重い斤量を背負って好走すれば、その分高く評価される
- 相手の強さ: 強い馬を相手に好走した場合、評価が上がる
- レースの質: そのレース全体のレベル
115ポンド以上の評価を受ける馬については、IFHA(国際競馬統括機関連盟)の専門委員会が世界の主要国のハンデキャッパーの協議により決定します。114ポンド以下はJRAハンデキャッパーとNAR(地方競馬全国協会)レーティング担当者等の協議で決まります。
つまり、上位の馬のレーティングは国際的な合議で決まるため、世界共通の物差しとして信頼性が担保されています。
レーティングの目安
レーティングの数値が具体的にどの程度の実力を示すのか、格付け基準と照らし合わせたおおまかな目安です(公式の分類表ではありません)。

| レーティング | 目安 |
|---|---|
| 125以上 | 世界トップクラス。年に数頭しか到達しない |
| 115〜124 | G1級。国内外のG1で活躍できる水準 |
| 110〜114 | G2級。重賞で好勝負できる実力 |
| 105〜109 | G3級。重賞に出走して見劣りしない |
| 100〜104 | オープン級。オープン特別やリステッドで通用する水準 |
| 100未満 | 条件戦級 |
2026年上半期のロンジンワールドベストレースホースランキング(LWBRR)では、世界1位タイのカーインライジングが131。日本馬ではメイショウタバルの123が最高で、世界12位タイとなっています。
レースレーティングと格付け審査
レースにも「レースレーティング」という指標があります。これは上位4着までの各馬が持つ公式レーティングの平均値で、レースの質を表します。
レースレーティングは格付け審査に使われます。G1・G2・G3の格付けを維持するには、一定のレースレーティングが必要とされています。
| 格付け | レースレーティングの目安 |
|---|---|
| G1 | 115以上 |
| G2 | 110以上 |
| G3 | 105以上 |
| リステッド | 100以上 |
IFHA(国際競馬統括機関連盟)が数年間の実績をもとに審査し、基準を満たさないレースは格下げされることもあります。逆に、レースレーティングが継続的に高ければ格上げの可能性もあります。
なお、牝馬限定戦以外のレースで上位4着以内に牝馬が入った場合は、牝馬アローワンスとして一律4ポンドを加算してレースレーティングを算出します。牡馬と牝馬の平均的な能力差を補正するための仕組みです。
GとJpnの違い
日本のG1レースの中には、国際的には「JpnI」と分類されるものがあります。
| 分類 | 条件 | 例 |
|---|---|---|
| G1(国際G1) | IFHAの国際基準を満たし、外国馬の出走が可能 | 日本ダービー、有馬記念 |
| JpnI | 国内の最高格付けだが、国際基準の一部を満たしていない | 地方競馬のダート交流重賞など |
違いが生まれる主な理由は、外国馬への開放度です。国際セリ名簿基準では、外国馬に開放されていないレースに「G」表記を使えないため、その条件を満たさないレース(主に地方競馬のダート重賞)は「Jpn」表記になります。JpnI格付けのレースも国内では最高峰の位置づけですが、国際的な格付け体系では区別されています。
JRA が発表するランキング
JRAはレーティングをもとに、いくつかのランキングを定期的に発表しています。
重賞競走等レーティング
各重賞・オープン特別の結果に基づくレーティングです。G1では全馬、その他の重賞・オープン特別は4着までの各馬のレーティングが公表されます。毎週更新されるため、直近のレース内容がすぐに反映されます。
JPNサラブレッドランキング
その年のレースで獲得したレーティングが100以上の日本馬をランク付けしたものです。3歳芝・3歳ダート・4歳以上芝・4歳以上ダートの4部門に分かれ、上半期と通年の年2回発表されます。
2026年上半期のランキングでは、宝塚記念を連覇したメイショウタバルが古馬芝のトップ(123)、皐月賞と日本ダービーの二冠を達成したロブチェンが3歳芝のトップ(119)となっています。

| 部門 | 1位 | レーティング | 主な実績 |
|---|---|---|---|
| 古馬芝 | メイショウタバル | 123 | 宝塚記念連覇 |
| 古馬ダート | フォーエバーヤング | 123 | サウジカップ連覇 |
| 3歳芝 | ロブチェン | 119 | 皐月賞・日本ダービー二冠 |
| 3歳ダート | フィンガー | 116 | 東京ダービー |
ワールドベストレースホースランキング
IFHAが発表する世界ランキングです。世界中の主要レースを対象に、レーティング121以上の馬が掲載されます。定期的に中間発表があり、年末に確定版が公表されます。
G1競走プレレーティング
G1レースの特別登録馬について、各馬がその時点で持つレーティングの最高値が公表されます。G1開催週の月曜日に発表され、出走予定馬の実力を事前に比較できます。
レーティングの距離区分
レーティングは、馬が評価を得たレースの距離によって以下の区分が付きます。
| 区分 | 距離 |
|---|---|
| S(Sprint) | 1,000〜1,300m |
| M(Mile) | 1,301〜1,899m |
| I(Intermediate) | 1,900〜2,100m |
| L(Long) | 2,101〜2,700m |
| E(Extended) | 2,701m以上 |
同じ馬でも距離区分ごとに異なるレーティングを持つことがあります。短距離で高い評価を得ている馬が中距離では別の評価になるなど、距離適性の違いが数値に表れます。
レーティングやランキングの詳細は JRA レーティング&ランキング で確認できます。
本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。
関連記事
- 基礎知識オープンクラスを読み解く — レースの種類と出走への道中央競馬の最上位クラスであるオープンには、G1からオープン特別まで多様なレースがあります。格付け・斤量条件の違いや、3勝クラスを勝つ以外にもオープンに出走できるルートを、データとあわせて整理しました。
- 基礎知識月別に見るクラス分布の変化 — 2歳・3歳・4歳以上の1年JRA平地レースのクラス別出走頭数を月ごとに集計しました。2歳馬のデビューから3歳未勝利の終了、4歳以上の安定した構造まで、1年を通じたレース編成の変化を整理しています。
- 基礎知識情報処理学会の記事「情報学者が競馬予想に踏み出すときに知っておくべきこと」情報処理学会の会誌に掲載された記事が面白かったので紹介します。