競馬では、出走馬ごとに背負う重さ(斤量)が決められています。騎手の体重と馬具を合わせた重量のことで、レースの公平性を調整するための仕組みです。
斤量とは
斤量(きんりょう)は「負担重量」とも呼ばれ、騎手と馬具(鞍など)の合計重量を指します。出馬表には「57kg」「55kg」のように記載されています。
たった数キロの差でも、馬にとっては走りに影響があると言われています。一般的には、斤量が重いほど不利、軽いほど有利とされています。
4つの決め方
斤量の決め方には大きく4つの方式があります。
| 方式 | 斤量の決め方 | 主な採用例 |
|---|---|---|
| 馬齢 | 年齢で一律(性別による差のみ) | 2歳戦、3歳限定G1(皐月賞・ダービー・桜花賞など) |
| 定量 | 年齢と性別で決定 | 3歳以上G1の多く(天皇賞・有馬記念・ジャパンカップ) |
| 別定 | 定量に過去の実績を加算 | G2・G3に多い |
| ハンデキャップ | 各馬の能力を評価して個別に設定 | ハンデキャップ競走 |
以下、それぞれの方式を見ていきます。
馬齢
同じ年齢の馬だけが出走するレースで、性別に応じて一律に斤量が決まる方式です。全馬が同じ年齢なので、牡馬・牝馬の差以外は全馬同じ斤量になります。
2歳戦や、皐月賞・東京優駿(日本ダービー)・桜花賞などの3歳限定G1で採用されています。最もシンプルな方式です。
定量
異なる年齢の馬が一緒に走るレースで、年齢と性別に応じて斤量が決まる方式です。たとえば「4歳以上 牡馬 58kg、3歳牡馬 56kg」のように、若い馬は軽い斤量が設定されます。
天皇賞・有馬記念・ジャパンカップなど、3歳以上が出走できるG1の多くで採用されています。
別定
基本は定量と同じですが、過去の実績(収得賞金や重賞勝利数など)に応じて斤量が加算される方式です。
たとえば「G1 勝ち馬は +2kg」のような条件が設定されます。強い馬ほど重い斤量を背負うことになるため、実力差をある程度ならす効果があります。G2 や G3 で多く採用されています。
ハンデキャップ
ハンデキャッパーと呼ばれる専門の担当者が、各馬の能力を評価して個別に斤量を設定する方式です。
強い馬は重く、弱い馬は軽く設定されるため、理論上はどの馬にも勝つチャンスが生まれます。その分、波乱が起きやすい傾向があります。
性別と年齢による減量
馬齢・定量・別定の場合、以下のような減量ルールが適用されます。
- 牝馬 — 牡馬・せん馬に対して 2kg 減が基本
- 3歳馬 — 古馬(4歳以上)と走る場合、時期に応じた減量がある
これらは馬の身体的な差を考慮したもので、性別や成長度合いによる不利を補正する意図があります。
主な負担重量
代表的な負担重量を整理すると、おおむね次のようになります(単位はkg)。
| レース区分 | 牡・セン | 牝 |
|---|---|---|
| 2歳戦(馬齢・9月まで) | 55 | 55 |
| 2歳戦(馬齢・10〜12月) | 56 | 55 |
| 3歳戦(馬齢) | 57 | 55 |
| 別定・定量の基準(5歳以上) | 58 | 56 |
異なる年齢の馬が一緒に走る別定・定量のレースでは、5歳以上を基準(牡・セン58kg、牝56kg)とし、3歳・4歳には月別・距離別の減量が設定されます。牝馬が軽いのは、前述の牝馬の減量(2歳10月以降は1kg、3歳以降は2kg)によるものです(2026年5月現在、JRA 負担重量より)。
騎手の減量制度
斤量に関連する制度として、見習騎手の減量制度があります。免許の通算取得期間が5年未満で平地競走の勝利が100回以下の騎手が騎乗する場合、負担重量が軽減されます。平地競走では、勝利数に応じて記号と減量幅が決まります。
| 記号 | 減量 | 対象(平地・男性騎手) |
|---|---|---|
| ▲ | 3kg減 | 勝利30回以下 |
| △ | 2kg減 | 勝利31〜50回 |
| ☆ | 1kg減 | 勝利51〜100回 |
勝利が100回を超えると減量はなくなります。女性騎手にはこれとは別の減量制度が設けられています。出馬表で騎手名の横にこうした記号がついているのは、減量が適用されていることを示しています。経験の浅い騎手にも騎乗機会を与えるための仕組みです(2026年5月現在、JRA 競馬のルールより)。
斤量は出馬表に必ず載っている情報ですが、意識して見ているファンは意外と多くないかもしれません。同じレースでも馬ごとに背負う重さが違うことを知っておくと、予想の視点が少し広がります。
本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
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