本日(2026年6月7日)の安田記念ではブリンカーを装着したシックスペンスが見事勝利しました。ブリンカー(遮眼革)は馬の視界を制限して前方に集中させるための馬具で、気性が荒い馬や集中力を欠きやすい馬に装着されることが多く、出走表にもその有無が記載されます。
ブリンカーの装着が成績にどう影響するのか、データで確認してみます。対象は2021〜2025年のJRA平地全レースです。勝率は「勝利数 ÷ 出走数」で計算しています。
全体ではブリンカー装着馬の勝率は低い
ブリンカーの有無別の成績です。
| 区分 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| ブリンカーなし | 207,741 | 7.48% | 22.33% |
| ブリンカーあり | 27,934 | 6.25% | 19.48% |
ブリンカー装着馬の勝率は6.25%で、非装着馬の7.48%を1.23ポイント下回っています。複勝率も2.85ポイント低い結果です。
ただし、ブリンカーは「そのままでは集中できない馬」に装着されるものです。装着馬の平均人気は8.1番人気で、非装着馬の7.6番人気より低くなっています。もともと実力で劣る馬に使われる傾向があるため、単純な勝率の比較だけでは効果を測れません。
人気別に見ると差はほとんどない
人気帯ごとにブリンカーの有無別の勝率を比較してみます。
| 人気帯 | なし | あり |
|---|---|---|
| 1〜3番人気 | 22.47% | 20.16% |
| 4〜6番人気 | 7.13% | 7.52% |
| 7〜9番人気 | 2.81% | 3.15% |
| 10番人気以下 | 0.79% | 1.06% |
1〜3番人気ではブリンカー装着馬が2.31ポイント低いものの、4〜6番人気では逆転して装着馬のほうが高くなっています。7〜9番人気でも装着馬が0.34ポイント上回り、10番人気以下では0.27ポイント上回っています。
つまり、人気馬ではブリンカーがやや不利に出る一方、人気薄ではブリンカー装着馬のほうがむしろ勝率が高いということです。人気薄のブリンカー馬は「集中さえすれば走れる」タイプが含まれており、ハマったときの爆発力があるのかもしれません。
芝よりダートで多く使われる
ブリンカーの使用率と成績を芝・ダート別に見てみます。
| 馬場 | 使用率 | なし勝率 | あり勝率 |
|---|---|---|---|
| 芝 | 8.39% | 7.72% | 5.75% |
| ダート | 15.19% | 7.24% | 6.51% |
ダートでのブリンカー使用率は15.19%と、芝の8.39%の約2倍です。ダートは砂が顔に当たるため視界の制限がプラスに働きやすいとも言われますが、勝率の差はダート(0.73ポイント差)のほうが芝(1.97ポイント差)より小さく、ダートのほうが相対的にはブリンカーの効果が出やすい傾向はあるようです。
クラス別の使用率と勝率
クラスごとの使用率と勝率です。
| クラス | 使用率 | なし勝率 | あり勝率 |
|---|---|---|---|
| 新馬 | 0.80% | 7.69% | 3.82% |
| 未勝利 | 9.25% | 7.12% | 6.63% |
| 1勝クラス | 14.63% | 7.75% | 6.49% |
| 2勝クラス | 17.46% | 8.01% | 5.86% |
| 3勝クラス | 17.45% | 7.32% | 5.65% |
| オープン | 12.63% | 7.46% | 5.79% |
新馬戦での使用率はわずか0.80%です。デビュー戦でブリンカーを使うケースはまれで、レースを経験してから必要に応じて装着するのが一般的です。
使用率が最も高いのは2勝クラスと3勝クラスで約17%。クラスが上がるにつれて壁にぶつかり、打開策としてブリンカーを試す馬が増えるのでしょう。オープンでは12.63%に下がっていますが、これはブリンカーが必要な馬がそこまで勝ち上がりにくいことの反映かもしれません。
前走からの変化で見る
ブリンカーの効果を測るために、前走との比較でブリンカーの状態を4つに分類しました。前走が必要なため、各馬のデータ上の初出走(全体の約13%)はこの集計に含まれません。また、集計期間が2021〜2025年のため、2020年以前にブリンカーを使用していた馬や、途中で外して再装着した馬も「新規装着」に含まれます。厳密な「初装着」ではなく「前走から新たに装着した」ケースとしてご覧ください。
| 状態 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| なし→なし(未装着) | 174,242 | 7.66% | 22.85% |
| なし→あり(新規装着) | 6,844 | 5.01% | 16.45% |
| あり→あり(継続) | 20,191 | 6.64% | 20.62% |
| あり→なし(外した) | 3,372 | 4.48% | 14.53% |
新規装着の勝率は5.01%で、継続装着の6.64%より低くなっています。ただし、成績が良くない馬に打開策としてブリンカーを試すケースが多いと考えられるため、新規装着馬の勝率が低く出るのは当然とも言えます。
前走着順を揃えて比較すると、違った姿が見えてきます。
| 前走着順 | 新規装着 | 未装着 | 新規装着勝率 | 未装着勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜3着 | 450件 | 43,667件 | 18.22% | 15.88% |
| 4〜6着 | 1,151件 | 42,028件 | 8.60% | 8.35% |
| 7〜9着 | 1,695件 | 37,310件 | 4.66% | 4.24% |
| 10〜12着 | 1,782件 | 28,488件 | 2.81% | 2.90% |
| 13着以下 | 1,766件 | 22,749件 | 1.87% | 2.21% |
前走9着以内では新規装着馬のほうが勝率が高く、1〜3着(+2.34pt)、4〜6着(+0.25pt)、7〜9着(+0.42pt)と一貫しています。一方、前走10着以下では差がないか、わずかに未装着馬が上回ります。
ある程度走れている馬にブリンカーを着けるとプラスに働く可能性がある一方、大敗した馬を一発で巻き返させるほどの効果は期待しにくいということでしょう。ブリンカーは能力を引き上げる道具ではなく、集中力さえ改善すれば走れる馬に効くものだと考えられます。
ブリンカーを外した馬(あり→なし)は4.48%と最も低い勝率です。ブリンカーで効果が出なかった、あるいは効果が薄れた馬が外す判断をされるため、苦戦するのは自然な結果です。
芝とダートで傾向に差がある
ブリンカーの有無による勝率差を芝・ダート別に見てみます。
| 馬場 | 新規装着勝率 | 未装着勝率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 芝 | 4.31% | 7.88% | -3.57 |
| ダート | 5.42% | 7.46% | -2.04 |
ダートでは新規装着と未装着の勝率差が2.04ポイントですが、芝では3.57ポイントと差が大きくなっています。ダートのほうが相対的にはブリンカー馬の不利が小さいようです。
距離帯による違い
距離帯ごとのブリンカー有無別勝率です。
| 距離帯 | なし | あり | 差 |
|---|---|---|---|
| 短距離(〜1400m) | 6.92% | 6.16% | -0.76 |
| マイル(1500〜1800m) | 7.60% | 6.24% | -1.36 |
| 中距離(1900〜2200m) | 8.01% | 6.23% | -1.78 |
| 長距離(2300m〜) | 8.89% | 6.78% | -2.11 |
短距離では差が0.76ポイントと比較的小さく、距離が長くなるほど差が開いていきます。短距離はスピード勝負で集中力の持続がそこまで問われませんが、長距離では道中の折り合いや集中力がより重要になるため、ブリンカーを必要とする馬にとっては不利に働きやすいのかもしれません。
まとめ
ブリンカー装着馬の勝率は全体では非装着馬より低いですが、それはブリンカーが必要な馬=もともと気性面に課題がある馬だからです。
- 全体: 装着馬6.25%、非装着馬7.48%。ただし装着馬は平均人気が低い
- 人気別で見ると差は小さい: 人気帯を揃えると勝率差はほぼ消える。人気薄ではむしろ装着馬が上回る
- 新規装着は前走好走馬に効く: 前走9着以内なら新規装着馬のほうが勝率が高い。全体の勝率が低いのは前走大敗の馬が多いため
- 継続装着のほうが好成績: 新規装着5.01%に対し、継続装着は6.64%
- 外したら苦戦: ブリンカーを外した馬の勝率は4.48%と最低
ブリンカーは能力そのものを引き上げる道具ではなく、集中力さえ改善すれば走れる馬を補助する道具です。前走である程度走れていた馬の新規装着は注目できますが、大敗続きの馬に着けても効果は期待しにくいようです。
本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。
関連記事
- 2026年上期の1番人気成績 — 競馬場別・クラス別の勝率と回収率2026年上期のJRA平地レースにおける1番人気の勝率は32.8%、単勝回収率は78.7%でした。競馬場別では福島・函館が平年を大きく下回り、オープンクラスの回収率は平年より20ポイント高い89.8%でした。
- 新馬戦での種牡馬別成績 — 血統が人気に直結するレース2025年のJRA新馬戦における種牡馬別の勝率を芝・ダート別に分析しました。芝ではモーリスとエピファネイアが勝率20%超、ダートではルヴァンスレーヴとナダルが突出しています。
- 道悪は荒れるのか — 馬場状態・天気と波乱の関係馬場状態と天気がレースの荒れやすさにどう影響するかを検証しました。芝の重・不良では1番人気の勝率が大きく落ちる一方、ダートはむしろ堅くなります。天気そのものによる差はほとんどありません。