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払戻率と期待値の基礎

競馬で馬券を買うとき、賭けた金額がすべて払戻に回るわけではありません。総売上のうち一定の割合だけが的中者に分配され、その比率を払戻率と呼びます。

払戻率とは

払戻率は、馬券の総売上のうち的中者への払戻に回る割合のことです。残りは国庫納付金や JRA の運営費に充てられます。

たとえば単勝の払戻率は 80% です。総売上が 1,000 万円なら、800 万円が的中者への払戻原資となり、200 万円が差し引かれます。

券種ごとの払戻率

払戻率は券種によって異なります(2026年5月1日現在、JRA 公式サイトより)。

券種払戻率
単勝80.0%
複勝80.0%
枠連77.5%
馬連77.5%
ワイド77.5%
馬単75.0%
3連複75.0%
3連単72.5%
WIN570.0%

組合せ数が多く高配当が出やすい券種ほど、払戻率は低く設定されています。

期待値という考え方

払戻率と関連して「期待値」という考え方があります。

期待値とは、ある馬券を大量に買い続けたとき、1回あたり平均でいくら戻ってくるかを示す値です。計算は単純で:

期待値 = オッズ × 的中確率

たとえば、オッズ 5.0 倍で的中確率が 20% の馬券なら、期待値は 5.0 × 0.2 = 1.0 です。100 円賭けるごとに平均 100 円返ってくる計算になります。

全体としての回収率

パリミュチュエル方式では、馬券購入者全体に払い戻される総額は、必ず総売上 × 払戻率になります。これは個々のレース結果によらず、構造的に決まっている値です。

  • 単勝なら、全購入者への払戻総額は総売上の 80%
  • 3連単なら、全購入者への払戻総額は総売上の 72.5%

誰かが大きく勝てば、その分だけ他の誰かが損をします。全体の払戻総額は常に一定です。

ランダムに買うと80%になるか

では、毎レース適当に1頭を選んで買い続けたら回収率は 80% に近づくのかというと、そうはなりません。JRA の直近5年分の単勝データで、ランダムに1頭選んで単勝100円を買い続けるシミュレーションを各年5回ずつ行い、合算した回収率を計算してみました。

レース数回収率(5回合算)
20213,45676.7%
20223,45667.1%
20233,45676.3%
20243,44268.7%
20253,45565.3%
5年合計17,26570.8%

年によって65〜77%とばらつきはあるものの、80%には届きません。

なぜ80%にならないのでしょうか。

払戻率 80% は「売上金額ベース」の数字です。単勝の総売上が1,000万円なら、800万円が払戻に回ります。ここで重要なのは、売上の大部分が人気馬に集中しているという点です。

たとえば18頭立てのレースで、1番人気の馬に売上の30%が集まっているとします。この馬が勝てば、払戻金800万円のうち大きな割合がこの馬の購入者に分配されます。オッズは売上比率で決まるため、人気馬のオッズは低くなり、回収率は払戻率に近い80%前後に落ち着きます。

一方、人気薄の馬は回収率が80%を大きく下回ります。これは「本命-大穴バイアス」と呼ばれる現象で、人気が低い馬ほど回収率が下がる傾向があります。本命-大穴バイアスについては別の記事で実際のデータを集計して詳しく検証する予定です。

ランダムに1頭を選ぶということは、1番人気も18番人気も同じ確率(1/18)で選ぶことになります。実際のレースでは人気薄の馬のほうが頭数が多いため、ランダムに選ぶと人気薄の馬を引く確率が高くなります。人気薄の回収率が低い分、全体の回収率は80%より下がるわけです。

本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。

本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。

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