芝の枠順による有利不利を競馬場×距離で掘り下げる

枠順の有利不利では、芝全体で内枠がやや有利であることを確認しました。ダートの掘り下げに続き、芝についても競馬場×距離で枠番ごとの勝率(単勝率)と複勝率を見ていきます。

芝コースは開催が進むにつれて内側の芝が傷むため、枠順の有利不利も前半と後半で変わる可能性があります。そこで、すべてのグラフを開催前半と後半に分けて掲載しています。実際には移動柵の位置変更によって開催途中でもコース条件が変わりますが、ここでは大まかな傾向を捉えるために前半・後半の2分割としています。

対象は2021〜2025年のJRA平地芝レースのうち、各競馬場でレース数の多い上位3距離(150レース以上)です。札幌は該当する距離がないため除外しています。新潟1000m(直線コース)はサンプル数が基準に満たないものの、コース形態が特殊なため例外的に含めています。連続開催(例:第2回→第3回東京)は1つの開催期間として扱い、その中の前半・後半で分割しています。

東京競馬場

東京競馬場 芝(開催前半):枠番別 勝率・複勝率

東京競馬場 芝(開催後半):枠番別 勝率・複勝率

前半は3距離ともフラットで、枠番による大きな差は見られません。

後半になると1400mに変化が現れ、1枠15.4%・2枠17.4%と内枠が下がる一方、5枠25.1%・8枠24.8%と外枠側が伸びています。開催が進んで内側の芝が荒れることで、内枠の不利が強まっているようです。

1600mと1800mは後半もフラットで、東京芝で開催後半の影響が出やすいのは1400mと言えそうです。東京の芝1400mは1600mと同じ左回りで、スタート地点が1600mの200m手前にあります。つまり1400mのスタート付近は1600mでも走行する区間であり、両方のレースで使われる分だけ芝が傷みやすいと考えられます。逆に、1600mのスタートから1400mのスタートまでの200mは1400mでは走らないため、比較的芝が保たれやすい区間です。もっとも、他の距離のレースも行われるため単純には言い切れませんが、1400mだけ後半に外枠シフトする一因にはなっていそうです。

中山競馬場

中山競馬場 芝(開催前半):枠番別 勝率・複勝率

中山競馬場 芝(開催後半):枠番別 勝率・複勝率

前半は1800mと2000mで内枠有利が明確です。1800mは1枠29.7%→8枠16.8%と大きな差があり、2000mも1枠28.0%→8枠18.7%です。1600mも1枠23.5%と高めですが、途中の上下が大きくなっています。

後半は1600mの内枠有利がより鮮明になります。1枠27.8%→7枠15.8%・8枠17.1%と、外枠に向かって一直線に下がる形です。2000mは内枠有利が薄れてフラットに近づいています。1800mは後半のサンプル数が少なく(各枠77〜121)、4枠33.0%・7枠31.0%など極端な値が出ており、安定した傾向を読み取るのは難しそうです。

阪神競馬場

阪神競馬場 芝(開催前半):枠番別 勝率・複勝率

阪神競馬場 芝(開催後半):枠番別 勝率・複勝率

前半は3距離とも内枠有利の傾向です。2000mは1枠31.3%・4枠35.7%と非常に高く、1800mも1枠29.0%・3枠31.6%が目立ちます。1600mは1〜2枠が26〜27%台で、外枠に向かって緩やかに下がっています。

後半も内枠が高い方向は維持されますが、前半ほど極端な差は出ていません。1600mは7枠19.5%・8枠15.2%と外枠が低い傾向が続いています。1800mと2000mは途中の上下が大きく、前半より読みにくい形です。

京都競馬場

京都競馬場 芝(開催前半):枠番別 勝率・複勝率

京都競馬場 芝(開催後半):枠番別 勝率・複勝率

150レース以上の距離は1600mのみです。

前半はフラットに近く、2枠24.8%・4枠24.6%・8枠25.8%が高い程度で方向性は読み取りにくい形です。

後半は一転して外枠寄りの傾向が鮮明になります。1枠17.0%・2枠13.8%と内枠が大きく下がり、8枠は32.5%まで上がっています。前半と後半でここまで傾向が変わる条件は他にあまり見られません。

ただし、京都競馬場は改修による閉鎖期間があったためサンプル数は限られています。

中京競馬場

中京競馬場 芝(開催前半):枠番別 勝率・複勝率

中京競馬場 芝(開催後半):枠番別 勝率・複勝率

前半は1400mと2000mで内枠有利が出ています。1400mは3〜4枠の複勝率が24〜25%台に対し、8枠は17.3%です。2000mも1〜2枠が27〜30%台と高く、7〜8枠は21%台に落ちています。1600mは1枠28.0%が突出していますが、全体としてはフラットに近い形です。

後半は1400mの内枠有利がさらに強まり、1〜5枠が24〜27%台なのに対し、7枠13.3%・8枠16.7%と外枠が大きく下がっています。1600mも7枠17.9%・8枠19.1%と外枠が低くなっています。2000mは前半の傾向が薄れてフラットに近づいています。

小倉競馬場

小倉競馬場 芝(開催前半):枠番別 勝率・複勝率

小倉競馬場 芝(開催後半):枠番別 勝率・複勝率

前半は1200mが7枠23.2%を筆頭にやや外枠寄りの傾向です。1800mはフラット、2000mは1〜4枠が23〜29%台と高く内枠寄りの傾向が見えます。

後半は1200mの外枠有利がより明確になり、1枠13.4%→7枠22.5%と差が広がっています。1800mと2000mも外枠側が伸びる方向に変化しており、1800mは6枠27.1%が最高値です。

小倉は前半・後半を通じて外枠寄りにシフトする傾向が見られます。

新潟競馬場

新潟競馬場 芝(開催前半):枠番別 勝率・複勝率

新潟競馬場 芝(開催後半):枠番別 勝率・複勝率

1800mに加え、直線コースの1000mも掲載しています。1000mは各枠95〜151頭と他の距離よりサンプル数が少ないため、数値の振れ幅が大きい点にはご注意ください。

1800mの前半は1枠17.7%に対して8枠24.5%と、やや外枠寄りの傾向です。新潟は外回りコースの直線が長く、外枠の距離ロスが小さいことが影響しているのかもしれません。後半はフラットに近づいており、1枠21.8%と前半より上がっている一方、8枠24.1%はほぼ変わりません。

1000mは芝コースの中で最も外枠有利が顕著な条件です。前半から8枠の複勝率が33.1%と突出しており、後半はさらに39.4%まで上がっています。1枠は前半7.1%、後半3.2%と非常に低く、内枠ほど不利が大きくなっています。直線コースではコーナーがないため内ラチ沿いを走る必要がなく、スタート直後から各馬が馬場の良い外側へ寄っていく走り方になります。通常のレースとは逆の動きで、結果として外枠のほうが最初から有利な位置を取りやすくなっています。

福島競馬場

福島競馬場 芝(開催前半):枠番別 勝率・複勝率

福島競馬場 芝(開催後半):枠番別 勝率・複勝率

前半は2距離とも内枠有利が明確です。1200mは1枠30.7%→8枠16.5%と右肩下がりで、単勝率も1枠8.3%→8枠3.8%と大きな差があります。1800mも1〜4枠が21〜25%台と高く、8枠は16.8%です。

後半は1200mの傾向が大きく変わります。1枠は23.0%に下がり、8枠が25.9%と逆転しています。ただし5枠13.5%と極端に低い箇所もあり、安定した右肩上がりではなくばらつきが大きい形です。1800mは前半ほど顕著ではないものの、8枠15.4%が最低値で内枠寄りの傾向が残っています。

函館競馬場

函館競馬場 芝(開催前半):枠番別 勝率・複勝率

函館競馬場 芝(開催後半):枠番別 勝率・複勝率

150レース以上の距離は1200mのみです。

前半はフラットに近い形で、1枠26.6%・3枠25.7%・6枠26.0%が高い程度です。後半は2枠33.6%が突出していますが、7枠17.4%が最も低いなど上下が大きく、安定した傾向は読み取りにくくなっています。各枠のサンプル数は129〜170と少なめで、振れ幅が大きいと思われます。

全体の傾向

各競馬場の開催前半・後半の傾向をまとめます。

競馬場距離開催前半開催後半
東京1400mフラット外側が有利
東京1600mフラットフラット
東京1800mフラットフラット
中山1600m内側がやや有利内側が有利
中山1800m内側が有利ばらつき大
中山2000m内側が有利フラット
阪神1600m内側がやや有利内側がやや有利
阪神1800m内側が有利内側がやや有利
阪神2000m内側が有利内側がやや有利
京都1600mフラット外側が有利
中京1400m内側が有利内側が有利
中京1600mフラット内側がやや有利
中京2000m内側が有利フラット
小倉1200m外側がやや有利外側が有利
小倉1800mフラット外側がやや有利
小倉2000m内側がやや有利フラット
新潟1000m外側が有利外側が有利
新潟1800m外側がやや有利フラット
福島1200m内側が有利ばらつき大
福島1800m内側が有利内側がやや有利
函館1200mフラットばらつき大

開催後半で外枠にシフトするケース

開催が進むと内側の芝が傷み、外枠寄りに変化する条件がいくつかあります。

  • 東京1400m: フラット → 外側が有利。1枠の複勝率が18.5%→15.4%に下がる
  • 京都1600m: フラット → 外側が有利。1〜2枠が17%・14%に下がり、8枠は32.5%に上がる
  • 小倉1200m: 外側がやや有利 → 外側が有利。1枠が21.9%→13.4%に下がる
  • 福島1200m: 内側が有利 → ばらつき大。1枠30.7%→23.0%に下がり、8枠は16.5%→25.9%に逆転

後半も内枠有利が続くケース

一方で、開催後半でも内枠有利が維持される、あるいは強まる条件もあります。

  • 中山1600m: 後半のほうが外枠の低下が顕著で、7枠15.8%・8枠17.1%
  • 阪神1600m: 前半・後半とも7〜8枠が低い傾向で一貫している
  • 中京1400m/1600m: 後半は7〜8枠がさらに低下。1400mは7枠13.3%

コースの形状やコーナーの数による距離ロスは、芝の状態に関係なく一定のため、こうした競馬場では開催後半でも内枠有利が崩れにくいのかもしれません。

ダートとの対比

ダートの掘り下げと比べると、枠順の影響の方向が異なります。

  • : 内枠有利が基本。開催後半は外枠寄りにシフトする条件もある
  • ダート: 外枠有利が基本。芝スタートの距離で特に顕著

ただし、どちらも競馬場と距離の組み合わせで傾向が変わる点は共通しています。芝の場合はさらに開催時期(前半・後半)も考慮する必要があり、単に「芝は内枠有利」とは言い切れない結果です。

本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。

本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。

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