枠番とコーナー通過順位では、内枠ほど先頭に立ちやすいことを確認しました。ただ、先頭に立ちやすいことと勝ちやすいことは別の話です。
差がどこで生まれているのか、まず東京1400mの芝とダートを見比べるところから始めます。
集計の条件
- 2021〜2025年のJRA平地レース、12〜18頭立て
- 欠番のあるレースは除外(出走頭数と最大馬番が一致するものだけを使用)
- 誤差の範囲を統計的に求めて「±」で添えています。差がこの2倍を超えていれば、偶然では説明しにくいと考えてください
グラフの灰色の破線は1着率の期待値です。頭数の多いレースほど1着率は下がり、また出走頭数が増えると外側の枠から2頭ずつ入るため、枠によってわずかに上下します。
東京1400mの芝とダート
同じ競馬場、同じ距離、同じ2コーナーのレースで、違うのは馬場だけという組み合わせです。まず芝から見ます。

青と緑が先頭率、赤が1着率です。202レースと少なめなので枠ごとの上下は誤差を含みますが、先頭率は内側の4つが6.8〜10.1%、外側の4つが4.2〜7.2%と、内枠のほうが高くなっています。
1着率のほうは、5枠から8枠が期待値(灰色の破線)を上回りました。外枠有利の形です。
次にダートです。

先頭率は1枠11.46%から7枠4.05%まで下がります。芝とほぼ同じ形です。
1枠だけは芝7.32%に対してダート11.46%と開きがありますが、これは開催後半に芝の1枠が落ちることによるもののようです。開催の前半だけで見ると芝9.72%・ダート12.22%(差2.50 ± 3.01)で、誤差の範囲に収まりました。
ところが1着率は違います。ダートは期待値の周りで横ばいで、方向がありません。 芝のように外枠が持ち上がる形にはなっていません。
位置取りは似ているのに、結果が違う。枠による差は、前に行けるかどうかとは別のところで生まれていることになります。
もう1点、どちらのグラフでも青と緑の線が近い位置にあります。最初のコーナーで決まった前後関係が、最終コーナーまでほとんど変わっていないことが分かります。
全コースで確かめる
東京1400mだけの話ではないことを確かめます。JRAの全コースを対象に、芝とダートそれぞれで集計しました。コーナーの数によってレースの流れが変わるので、2コーナーのレースと4コーナーのレースに分けています。

芝の2コーナーのレースです。先頭率は1枠9.72%から7枠4.46%まで下がりますが、1着率は期待値の周りで横ばいです。

芝の4コーナーのレースです。先頭率の下がり方は同じですが、青と緑が離れています。 最初のコーナーで内枠が取った先頭を、最終コーナーまでに外枠が詰めています。1着率はわずかに内枠寄りです。

ダートの2コーナーのレースです。先頭率は芝より急な右肩下がりで、1枠11.86%に対し7枠4.14%。それでいて1着率は右肩上がりになります。

ダートの4コーナーのレースです。芝の4コーナーと同じく青と緑が離れ、1着率は2コーナーと同じく右肩上がりです。
4つに共通するのは、先頭率がどれも内枠有利という点です。一方で1着率は、芝がほぼ平坦、ダートが右肩上がりに分かれます。
コーナー数の違いは、道中で前後関係が入れ替わるかどうかに出ます。
| 4コーナーのレース | 最初のコーナー | 最終コーナー |
|---|---|---|
| 芝1枠 | 9.83% | 8.01% |
| 芝7枠 | 4.95% | 6.00% |
| ダート1枠 | 10.36% | 8.25% |
| ダート7枠 | 4.86% | 6.12% |
内枠が取った先頭を、外枠が向正面のあいだに詰めているようです。2コーナーのレースは最初の計測地点がすでにレース後半なので、そこまでの動きが見えていないだけとも考えられます。
いずれにせよ、どのコースをまとめても、先頭率の形は同じで1着率の形だけが分かれます。 枠による1着率の差は、先頭の取りやすさだけからでは説明できないようです。
通過順位をさらに掘り下げる
コーナー通過順位というと「3コーナーで5番手」という順位の数字を思い浮かべますが、JRAが公表している表記には、それ以外の情報も入っています。
3コーナー 11(8,6)(1,3,7)2(4,9)12,5,10
4コーナー (*11,8)(3,7,6)(1,9)5(4,2,12)10
カッコは1馬身未満で併走している馬群、* はその馬群の先頭馬です(, - = は馬群どうしの間隔)。詳しくはレース結果の見方に説明があります。
上の例では、3コーナーは11番が単独の先頭で、8番と6番が並んで2番手。4コーナーでは11番と8番が並び、そのうち11番が前に出ています。
肝心なのはカッコ内が内側の馬から記載される点です。順位の数字だけでは、同じ「2番手」でも内を走っていたのか外を走っていたのかは区別できません。
以下では最終コーナーの先頭の馬群に絞り、その中での横位置で分けます。冒頭の例の4コーナー (*11,8)(3,7,6)(1,9)5(4,2,12)10 なら、先頭の馬群は11番と8番で、11番が最内、8番が最外です。
| 区分 | 定義 |
|---|---|
| 単独 | 先頭がカッコに入っていない(1馬身以内に並んだ馬がいない) |
| 最内 | 先頭のカッコの1番目に書かれている |
| 中間 | 先頭のカッコの2番目以降で、最後ではない |
| 最外 | 先頭のカッコの最後に書かれている |
先頭群の内と外
先頭の馬群に絞れば、前にいるという条件が揃います。あとは内か外かだけです。

| 横位置 | 芝 | ダート |
|---|---|---|
| 単独 | 22.29%(2,974) | 35.14%(3,139) |
| 最内 | 11.73%(2,447) | 12.39%(3,785) |
| 中間 | 7.45%(631) | 11.92%(998) |
| 最外 | 17.45%(2,447) | 29.93%(3,785) |
最内と最外の差は芝+5.72 ± 1.01、ダートは+17.54 ± 0.92。芝で1.5倍、ダートで2.4倍でした。
最内になった馬の平均枠は芝4.09・ダート3.96、最外は芝5.56・ダート5.61。内枠ほど最内に、外枠ほど最外になります。
単独で先頭だった馬を枠で分けても差は出ませんでした。6〜8枠と1〜3枠の差は芝−2.25 ± 1.75、ダート+2.37 ± 1.95で、どちらも誤差の2倍に届きません。並んでいなければ、枠による差は出ないようです。
出走馬の全頭を同じ基準で分けても同じ形で、複勝率は最内16.79%・最外24.55%(ダート)でした。先頭付近に限った話ではないようです。
さらに前後で分ける
ここまでは馬群の中で前にいたかどうかを見ていません。2頭で並んでいた場合を、どちらが前にいたかで分けます。
| 内側の1着率 | 外側の1着率 | レース数 | |
|---|---|---|---|
| ダート・内が前 | 15.74% | 29.53% | 2,465 |
| ダート・外が前 | 3.70% | 37.18% | 433 |
| 芝・内が前 | 14.42% | 16.24% | 1,644 |
| 芝・外が前 | 4.30% | 25.00% | 256 |
4通りすべてで外側のほうが高くなりました。 特にダートで内が前に出ているとき、順位が下の外側の馬が2倍近く勝っています。半馬身前に出ていることより、外にいることのほうが効いている形です。芝で内が前の場合はほぼ互角でした。
参考: 開催の前半と後半
芝は開催が進むと内側が傷むと言われます。最内と最外を開催の前半・後半で分けました。連続開催は1つの期間として扱い、その中で日数を半分に割っています。
| 馬場 | 時期 | 最内 | 最外 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 芝 | 前半 | 13.28%(1,227) | 16.71%(1,227) | +3.43 ± 1.44 |
| 芝 | 後半 | 10.16%(1,220) | 18.20%(1,220) | +8.04 ± 1.40 |
| ダート | 前半 | 12.44%(1,849) | 30.88%(1,849) | +18.44 ± 1.32 |
| ダート | 後半 | 12.35%(1,936) | 29.03%(1,936) | +16.68 ± 1.28 |
芝は後半に差が広がり(+3.43 → +8.04)、ダートは変わりませんでした。ただし芝が比較的綺麗な開催前半でも+3.43あり、芝の傷みだけで説明できるものではないようです。開催の進行による芝の変化は芝の掘り下げで扱っています。
まとめ
- 並んで走ったときは外側のほうが成績が良い。先頭の馬群で比べると、最外と最内の差は芝+5.72 ± 1.01、ダート+17.54 ± 0.92
- ダートでは差が大きい。芝で1.5倍に対し、ダートは2.4倍。内側が半馬身前に出ているときでも、外側のほうが2倍近く勝っていた
- 並んでいなければ枠による差は出ない。単独で先頭だった馬を枠で分けても差はなかった
枠番の有利不利は、コーナーで馬が並んだときにどちら側にいるかを通じて生じているようです。特にダートで大きく出ました。
なぜそうなるのか、手がかりになりそうなのは芝の変化です。芝は開催が進むと差が広がりました(+3.43 → +8.04)。内側の芝が傷んで走りづらくなるためだと考えられます。 ダートでは差が最初から大きいので、ダートはそもそも内側よりも外側のほうが走りやすいものなのかもしれません。
枠番と勝率の関係は枠順の有利・不利、コース別の詳細はダートの掘り下げと芝の掘り下げでも扱っています。
本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。
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