上がり3ハロンのタイムは、レース結果に最も直結する指標のひとつです。今回はこの上がり3Fタイムと着順の関係を、さまざまな切り口で集計しました。
「ハロン」(furlong)はイギリス由来の距離単位で、1ハロン = 約201m です。競馬では慣習的に1ハロン = 200m として扱い、「3ハロン」は600mを指します。「上がり3ハロン(上がり3F)」はゴール前600mの走破タイムのことで、レース終盤にどれだけ速い脚を使えたかを示す指標です。
集計対象は2021〜2025年のJRA平地レースです。上がり3Fタイムが記録されている出走のみを対象としています。「上がり順位」はレース内での上がり3Fタイムの速い順(1位が最速)です。
上がり順位と勝率
レース内での上がり3F順位別に、勝率・複勝率・平均着順を集計しました。
| 上がり順位 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 | 平均着順 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 19,427 | 33.48% | 65.22% | 3.30 |
| 2位 | 18,117 | 20.16% | 55.17% | 4.01 |
| 3位 | 17,447 | 13.02% | 44.74% | 4.63 |
| 4位 | 17,138 | 8.33% | 33.48% | 5.21 |
| 5位 | 16,581 | 5.68% | 25.67% | 5.73 |
| 6位 | 16,680 | 3.91% | 18.50% | 6.37 |
| 7位 | 16,116 | 2.88% | 13.79% | 6.98 |
| 8位 | 15,885 | 1.88% | 9.77% | 7.70 |
| 9位 | 15,016 | 1.23% | 7.30% | 8.35 |
| 10位 | 14,208 | 0.84% | 4.60% | 9.18 |

上がり最速の馬は勝率33.48%、複勝率65.22%です。約3回に1回は勝ち、3回に2回は3着以内に入っています。
順位が1つ下がるごとに勝率はほぼ半減していく関係で、上がり5位以下になると勝率は5%台まで落ちます。上がり10位だと勝率0.84%で、ほとんど勝てません。
逆に、勝ち馬の側から見ると、勝った馬の39.4%が上がり最速で、上がり3位以内が全勝利の75.3%を占めています。上がり3Fの速さは勝利に直結する要素といえます。
レース内最速との差と勝率
上がり3Fタイムを、レース内最速馬との差(秒)でグループ化しました。
| 最速との差 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 | 平均着順 |
|---|---|---|---|---|
| 0.0秒(最速) | 19,427 | 33.48% | 65.22% | 3.30 |
| 0.1〜0.5秒 | 42,217 | 15.16% | 43.77% | 4.82 |
| 0.6〜1.0秒 | 51,884 | 5.58% | 25.01% | 6.38 |
| 1.1〜1.5秒 | 42,254 | 1.72% | 10.77% | 8.09 |
| 1.6〜2.0秒 | 27,619 | 0.43% | 3.71% | 9.69 |
| 2.1〜3.0秒 | 27,733 | 0.08% | 0.87% | 11.32 |
| 3.1秒以上 | 17,764 | 0.02% | 0.09% | 13.17 |

最速から0.5秒以内であれば勝率15.16%とまだ勝ち負けになりますが、1秒差がつくと勝率は5.58%まで下がります。1.5秒以上離されると勝率は2%を切り、2秒以上差がつくとほぼ勝ち目はありません。
上がり3Fの0.5秒差は着順にして2〜3着分に相当し、この指標の影響力の大きさが分かります。
距離区分別の違い
上がり最速馬の勝率を距離区分ごとに比較します。
| 距離区分 | 出走数 | 上がり最速の勝率 | 上がり最速の複勝率 |
|---|---|---|---|
| 短距離(〜1400m) | 7,149 | 24.93% | 52.92% |
| マイル(1401〜1800m) | 8,357 | 38.24% | 71.41% |
| 中距離(1801〜2200m) | 3,088 | 37.92% | 73.12% |
| 長距離(2201m〜) | 833 | 42.74% | 79.47% |

距離が長いほど上がり最速の優位性が高まります。長距離では上がり最速馬の勝率が42.74%、複勝率は79.47%に達します。
短距離では24.93%と全体平均(33.48%)を大きく下回ります。短距離はスピードの絶対値が重要で、位置取りやスタートの影響が大きいため、上がり3Fの差がつきにくいと考えられます。
芝とダートの違い
芝・ダート別に上がり順位と勝率を比較します。
| 上がり順位 | 芝 勝率 | 芝 複勝率 | ダート 勝率 | ダート 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 31.35% | 63.75% | 35.70% | 66.74% |
| 2位 | 18.97% | 53.01% | 21.37% | 57.38% |
| 3位 | 13.09% | 43.65% | 12.95% | 45.80% |
| 4位 | 8.43% | 32.15% | 8.22% | 34.78% |
| 5位 | 5.92% | 24.95% | 5.43% | 26.39% |
ダートのほうが上がり最速の勝率が高く(35.70% vs 31.35%)、上がり3Fの優位性がやや強く出ます。
4角通過順位との組み合わせ
上がり最速馬の勝率を、4角(最終コーナー)の通過順位で分けました。
| 4角の位置 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 | 平均着順 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜3番手 | 3,466 | 81.56% | 99.86% | 1.21 |
| 4〜6番手 | 3,625 | 48.41% | 93.49% | 1.81 |
| 7〜9番手 | 4,073 | 26.79% | 73.07% | 2.70 |
| 10〜12番手 | 3,970 | 14.23% | 45.79% | 4.05 |
| 13番手以降 | 4,159 | 5.55% | 23.01% | 6.21 |

上がり最速かつ4角3番手以内の馬は、勝率81.56%、複勝率99.86%です。前にいて速い脚を使える馬はほぼ確実に好走します。
一方、上がり最速でも13番手以降から追い込む場合、勝率は5.55%まで下がります。上がり3Fがどれだけ速くても、後方から届かないケースが大半です。
芝・ダートで分けると、ダートのほうが前方での上がり最速の勝率が高くなっています(74.34% vs 65.39%)。ダートは差しが決まりにくいコース特性もあり、先行して速い上がりを使う馬がより有利です。
| 4角の位置 | 芝 勝率 | ダート 勝率 |
|---|---|---|
| 前方(5番手以内) | 65.39% | 74.34% |
| 中団(6〜10番手) | 28.06% | 24.73% |
| 後方(11番手以降) | 9.72% | 7.38% |
クラス別の傾向
クラスによって上がり最速の優位性は変わります。
| クラス | 上がり最速の勝率 | 上がり最速の複勝率 |
|---|---|---|
| 新馬・未勝利 | 38.83% | 70.08% |
| 1勝クラス | 31.53% | 64.31% |
| 2勝クラス | 28.61% | 61.04% |
| 3勝クラス | 25.96% | 55.15% |
| オープン | 26.44% | 58.02% |
新馬・未勝利では上がり最速の勝率が38.83%と特に高く、クラスが上がるにつれて下がっていきます。下級条件では能力差が大きいため、速い上がりを使える馬がそのまま勝ちやすいのだと思われます。
3勝クラスとオープンはほぼ同水準で、上位クラスでは馬の能力が拮抗するため、上がり最速でも勝率は25〜26%台にとどまります。
上がり最速で勝てなかった馬
上がり最速の馬は約3回に2回は勝てません。勝てなかった場合の着順分布は以下のとおりです。
| 着順 | 割合 |
|---|---|
| 2着 | 28.54% |
| 3着 | 19.18% |
| 4着 | 14.22% |
| 5着 | 10.67% |
| 6着以下 | 27.39% |
勝てなかった場合でも2〜3着に来る割合が47.7%を占め、5着以内では72.6%です。上がり最速の馬は、勝ち切れなくても好走する確率が高いといえます。
一方で、6着以下に沈むケースも27.4%あり、後方からの追い込みが届かなかったパターンが多いと推測されます。
人気との関係
最後に、単勝人気と上がり3Fの関係を確認します。
| 人気 | 上がり最速率 | 勝率 | 勝利のうち上がり最速だった割合 |
|---|---|---|---|
| 1番人気 | 22.17% | 33.52% | 43.66% |
| 2番人気 | 15.59% | 19.85% | 40.17% |
| 3番人気 | 12.91% | 13.23% | 38.59% |
| 4〜6番人気 | 9.72% | 7.16% | 36.46% |
| 7〜9番人気 | 6.36% | 2.86% | 31.45% |
| 10番人気以下 | 3.84% | 0.82% | 25.75% |
1番人気の馬が上がり最速になる割合は22.17%で、約5回に1回です。また、1番人気が勝った場合のうち上がり最速だったのは43.66%です。
人気が低くなるほど上がり最速率は下がりますが、10番人気以下でも3.84%は上がり最速を記録しています。そしてその場合の勝率は(前述のとおり全体で33.48%なので)人気に関係なく一定の勝率が期待でき、穴馬が上がり最速を使えた場合は侮れないことが分かります。
まとめ
- 上がり最速馬の勝率は33.48%で、勝ち馬の約4割が上がり最速
- レース内最速との差が0.5秒を超えると勝率は急激に下がり、1.5秒以上離されるとほぼ勝てない
- 距離が長いほど上がり最速の優位性が増す(短距離24.9% → 長距離42.7%)
- 上がり最速+4角3番手以内の勝率は81.6%。前にいて速い脚を使える馬が圧倒的に強い
- 後方から上がり最速を記録しても、勝率は5.6%にとどまる
- 下級条件ほど上がり最速の勝率が高く、クラスが上がると能力差が縮まり優位性は薄れる
本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。
関連記事
- レース展開・枠順芝の枠順による有利不利を競馬場×距離で掘り下げる芝の枠番別勝率・複勝率を競馬場×距離ごとに、開催前半と後半に分けて可視化しました。前半は内枠有利が多いものの、後半は芝の傷みで外枠にシフトする競馬場もあります。
- レース展開・枠順ダートの枠順による有利不利を競馬場×距離で掘り下げるダートの枠番別勝率・複勝率を競馬場×距離ごとに折れ線グラフで可視化しました。外枠有利の傾向は競馬場によって大きく異なり、芝スタートの距離で特に顕著です。
- レース展開・枠順ペースと走破タイムの関係 — 競馬場・距離別の相関競馬場・距離・クラスを固定してペース比と平均走破タイムの相関を調べました。芝はコース形態で相関の方向が異なり、ダートは全体的に相関が弱い傾向です。