(続)土曜と日曜、1日違うだけで枠の有利不利が違う

土曜と日曜、1日違うだけで枠の有利不利が違うの続きです。

前回分かったのは3つでした。

  • ダートの外枠有利は、土曜より日曜のほうが大きい(外7-8枠と内1-2枠の差は土曜+0.66 ± 0.59、日曜+3.41 ± 0.60)
  • 土曜も日曜も、日の中では動かない
  • 土曜から日曜に変わるところで動き、翌週の土曜には戻っている

なんとも不思議なデータです。今回はさらに少し掘り下げていきます。

集計の条件

前回と同じです。

  • 2021〜2025年のJRA平地レース、12〜18頭立て
  • 欠番のあるレースは除外(出走頭数と最大馬番が一致するものだけを使用)
  • 土曜と日曜の2日間だけの開催に限定しました
  • 誤差の範囲を統計的に求めて「±」で添えています。差がこの2倍を超えていれば、偶然では説明しにくいと考えてください

複勝率の数値は、期待値(3÷出走頭数)からのずれです。出走頭数が増えると外側の枠から2頭ずつ入るため、そのままの率を並べると外枠が有利に見えてしまいます。

競馬場ごとに分ける

10場に分けました。外7-8枠と内1-2枠の差です。

競馬場レース数土曜日曜変化
東京1,100+0.40+5.46+5.06 ± 1.84
中山956+2.46+4.96+2.50 ± 2.09
阪神916+2.49+6.58+4.10 ± 2.06
中京744−2.65+0.07+2.72 ± 2.47
新潟566+3.44+4.02+0.58 ± 2.68
京都521+1.41+2.10+0.69 ± 3.07
小倉416−1.35−5.62−4.27 ± 3.43
福島363−1.36+2.89+4.25 ± 3.61
札幌256+1.85+7.95+6.10 ± 4.40
函館192−5.64−2.78+2.86 ± 5.49

一見、競馬場ごとに傾向が違うように見えます。誤差の2倍を超えたのは東京だけです。 1場あたり192〜1,100レースしかないので、誤差の範囲が1.84〜5.49ポイントまで広がってしまいます。

10場を統合すれば+2.83 ± 0.84で、全体をまとめて集計した+2.75とほぼ同じでした。ただし1場ずつで見ると、小倉のマイナスが本当に反転なのか、単にぶれているだけなのかを区別できません。複勝率のままでは、この問いに答えられないということになります。

もっと誤差の小さい指標が必要です。

上り3Fで確かめる

複勝率だけでは、内枠の馬に何が起きているのかが分かりません。上り3Fのタイムを見ます。

タイムは競馬場や距離で水準が違うので、競馬場×距離×クラス×馬場状態でグループを作り、その平均からのずれを取っています。上のほうが遅いという意味です。まずダートから。

ダート 枠番別の上り3F 土曜と日曜

土曜(青)は1枠から6枠までが平均より速く、7枠と8枠が遅いという形です。 外枠のほうが遅いのは、コーナーで外を回る分だけ実際に走る距離が長くなるためかもしれません。ここではこの土曜の形を出発点にして、日曜と比べます。

日曜(赤)はこれが崩れます。 1枠だけが+0.125まで跳ね上がり、8枠より遅くなりました。2枠から6枠も0の近くまで上がっています。一方で7枠と8枠は土曜とほとんど同じ高さのままです。

つまり日曜に遅くなっているのは内側だけで、外側は動いていません。

なお、土曜の時点で外枠が遅いのはコースの形によるもののようです。上り3Fは最後の600mなので、直線が短い競馬場ほどコーナーが多く入ります。直線310m未満の5場では外7-8枠が内1-2枠より0.122 ± 0.020秒遅く、310m以上の5場では−0.011 ± 0.017秒で差がありませんでした。土曜も日曜も同じ条件なので、土日の差を取れば消えます。

次に芝です。

芝 枠番別の上り3F 土曜と日曜

芝も日曜(赤)が上がりますが、上がり方が枠によらず揃っています。 1枠から8枠まで、青の棒が同じくらいずつ持ち上がっただけです。8枠は土曜も日曜も一番遅いままで、順序が入れ替わっていません。

日曜と土曜の差にすると、ダートは1枠+0.183 ± 0.030、2-6枠+0.061 ± 0.012、7-8枠−0.012 ± 0.019。内側ほど遅くなっていて、1枠が特に大きいという形です。前回の記事では1枠だけが動いているように見えましたが、2〜6枠もわずかに遅くなっています。

芝は1枠+0.052 ± 0.027、7-8枠+0.047 ± 0.016で、内と外で変わりません。荒れ方が内側に偏っているのはダートだけのようです。

競馬場ごとに上り3Fで見る

改めて競馬場ごとに分けます。1枠が外7-8枠に対してどれだけ遅くなったかを、土曜と日曜で比べました。プラスが1枠の悪化です。

競馬場別 日曜に1枠が遅くなった量

競馬場レース数1枠の悪化(秒)
東京1,100+0.170 ± 0.076
中山956+0.229 ± 0.082
阪神916+0.386 ± 0.087
中京744+0.109 ± 0.099
新潟566+0.077 ± 0.127
京都521+0.038 ± 0.128
小倉416+0.107 ± 0.128
福島363+0.060 ± 0.130
札幌256+0.420 ± 0.212
函館192+0.400 ± 0.168

10場すべてがプラスでした。 複勝率ではマイナスだった小倉も+0.107です。誤差の2倍を超えたのも、東京・中山・阪神・函館の4場に増えました。

10場を統合すると+0.194 ± 0.034。ばらつきの大きさも、全場が同じ効果を持つと仮定したときの予想が9.00に対して実際は12.39で、誤差の範囲に収まっています。

特定の競馬場だけで起きていることではなさそうです。

まとめ

今回分かったのは3つです。

  • 日曜に遅くなっているのは内側だけ。ダートの上り3Fは1枠が+0.183 ± 0.030、2-6枠が+0.061 ± 0.012で、外7-8枠は−0.012 ± 0.019とほとんど動いていない
  • 芝は枠によらず同じだけ遅くなる。1枠+0.052 ± 0.027、外7-8枠+0.047 ± 0.016。全体が遅くなるので枠の有利不利は動かない
  • 10場すべてで同じ向き。1枠が外7-8枠に対して遅くなる量は、統合すると+0.194 ± 0.034

番組の格やメンバーの構成が原因とは考えにくいところです。日曜のダートに強い馬が集まったとしても、同じレースの中で1枠の上り3Fだけが遅くなる理由にはなりません。コースの形は土曜も日曜も同じなので、走る距離が変わるわけでもありません。残るのは路面のほうだと思われます。

前回の「日曜のダートは内側が走りづらいのではないか」という見方が、着順だけでなくタイムでも、しかも特定の競馬場に偏らない形で確かめられた、ということになります。

本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。

本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。

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