競馬の予想では「脚質」がよく話題になります。ただ、同じ馬でもレースごとに位置取りは変わるので、脚質そのものをデータで扱うのは簡単ではありません。ここでは実際のコーナー通過順位を使って、レース中どのあたりを走っていた馬が勝ちやすいのかを見てみます。
通過順位の4区分
最終コーナーの通過順位をもとに、次の4つに分けました。かっこ内は、おおまかに対応する脚質です。
- 先頭(逃げ): 通過順位が1位
- 前(先行): 残りのうち前寄りのグループ
- 中(差し): 同じく中間のグループ
- 後(追込): 同じく後方のグループ
なお、脚質はこの区分とはきれいには重なりません。たとえば「先頭」には、道中2番手から最終コーナーで前に出た馬も入るため、いわゆる「逃げ」とは違う場合もあります。
集計条件
- 対象期間: 2021〜2025年(5年分)
- 対象: JRA平地レースのうち、コーナー通過順位が記録されているレース
- 勝率 = 1着回数 ÷ 出走回数
- 通過順位1位を「先頭」とし、残りの馬を通過順に3等分して、前から「前」「中」「後」に振り分け(16頭立てなら、2〜6位が前、7〜11位が中、12〜16位が後)
なお、区分ごとの出走数はちょうど3等分にはなりません。通過順位は同順位が多く、63%の出走が他の馬と順位を共有しているため、順位で区切ると前寄りに多く入ります。
前にいるほど勝率が高い
区分ごとの出走数・勝率・複勝率です。
| 通過順位 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 先頭 | 16,513 | 23.30% | 49.75% |
| 前 | 80,683 | 11.23% | 33.40% |
| 中 | 68,451 | 4.15% | 16.06% |
| 後 | 61,401 | 1.30% | 5.64% |
グラフにすると、ポジションが前になるほど勝率が高いことがはっきりわかります。

勝率(折れ線)は先頭から後へ向かって下がり続けます。先頭の23.30%は後の1.30%の約18倍で、最終コーナーを先頭で通過した馬が約4回に1回は勝っている計算になります。
出走数(棒)で「前」が最も多いのは、先ほど触れた同順位の扱いによるものです。前で運ぶ馬が多い、という意味ではありません。
芝とダートで差がある
芝・ダート別に見ると、先頭の有利さに差があります。
| 通過順位 | 芝 勝率 | 芝 複勝率 | ダート 勝率 | ダート 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 先頭 | 20.26% | 44.92% | 26.27% | 54.45% |
| 前 | 10.91% | 32.13% | 11.53% | 34.60% |
| 中 | 5.31% | 19.18% | 3.09% | 13.20% |
| 後 | 1.76% | 6.82% | 0.90% | 4.60% |

ダートの先頭は勝率26.27%で、芝の先頭(20.26%)より6ポイント高くなっています。逆に中と後はダートのほうが勝率が低く、後はダートで0.90%しかありません。
ダートは芝に比べてスピードの加速がつきにくく、後方から一気に差し切ることが難しいとされています。データからもその傾向が読み取れます。芝のほうが中・後の勝率が相対的に高いのは、直線でスピードに乗りやすく、前との差を詰めやすいことが影響していると考えられます。
クラスが上がると先頭の優位は薄れる
新馬・未勝利戦と1勝クラス以上で比較しました。
| 通過順位 | 新馬・未勝利 勝率 | 1勝クラス以上 勝率 |
|---|---|---|
| 先頭 | 27.51% | 20.02% |
| 前 | 11.41% | 11.08% |
| 中 | 3.12% | 4.99% |
| 後 | 0.66% | 1.86% |

新馬・未勝利戦では先頭の勝率が27.51%と高く、後はわずか0.66%です。新馬・未勝利戦は馬の能力差が大きく、前に行ける馬がそのまま押し切れるケースが多いのだと思われます。
1勝クラス以上になると先頭の勝率は20.02%に下がり、中(4.99%)や後(1.86%)の勝率が上がっています。クラスが上がるにつれて馬の実力が拮抗し、後方からでも差し切れる展開が増えるのだと思われます。
最初のコーナーで見ても前が有利
ここまでは最終コーナーの通過順位を使ってきました。ゴールに近い時点の位置なので、勝率と直結しやすいのは当然とも言えます。そこで、そのレースで最初に通過するコーナーの順位で同じ分類をしてみます。
| 通過順位 | 最初のコーナー 勝率 | 最終コーナー 勝率 |
|---|---|---|
| 先頭 | 18.79% | 23.30% |
| 前 | 10.30% | 11.23% |
| 中 | 5.34% | 4.15% |
| 後 | 2.61% | 1.30% |

最初のコーナーの時点でも前のほうが勝率は高いのですが、最終コーナーほど極端ではありません。先頭と後の差は約7倍で、最終コーナー基準の約18倍と比べると穏やかです。
ただし「最初のコーナー」が指す地点はレースによって違います。向正面からスタートするレースは3コーナーと4コーナーしか回らず、この2つは同じカーブの入口側と出口側にあたるため、位置が大きくは変わりません。 競馬場や距離によっても条件が異なる点には注意が必要です。
クラス別に見ると、こちらも最終コーナーと同じ傾向です。
| 通過順位 | 新馬・未勝利 勝率 | 1勝クラス以上 勝率 |
|---|---|---|
| 先頭 | 22.13% | 16.17% |
| 前 | 10.50% | 10.12% |
| 中 | 4.48% | 6.05% |
| 後 | 1.82% | 3.26% |

1勝クラス以上の後は3.26%で、最終コーナー基準(1.86%)よりだいぶ高くなっています。レース序盤に後方にいても、道中でポジションを上げて勝ち切る馬がいるということだと思われます。新馬・未勝利戦(オレンジ)も同じ向きですが、後での開きは1勝クラス以上ほど大きくありません。序盤に後方だった馬が巻き返す余地は、クラスが上がるほど大きいのかもしれません。
まとめ
- 前にいるほど勝率が高い: 先頭23.30%に対して後は1.30%で、約18倍の差
- ダートのほうが前方有利: 先頭はダート26.27%・芝20.26%。後はダートで0.90%まで落ちる
- クラスが上がると差は縮む: 新馬・未勝利は先頭27.51%・後0.66%、1勝クラス以上は先頭20.02%・後1.86%
- 序盤の位置でも傾向は同じ: 最初のコーナー基準でも前が有利。ただし差は約7倍と穏やか
ただし今回の区分は、コーナー通過順位というレースの結果に基づいています。先頭の勝率が高いのは、最終コーナーで前にいる時点で有利だからであり、ある意味では当然の結果とも言えます。最初のコーナーで見ても前が有利ではありましたが、レースが始まってからの位置である以上、事前に確定できる情報ではありません。ここで示した数字は、レース中の位置取りがどれくらい結果と結びついているかを表すものとして見てください。
更新履歴
- 「脚質」という呼び方をやめ、コーナー通過順位による区分(先頭・前・中・後)に整理しました。勝率などの集計値に変更はありません。
本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。
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