馬場状態でタイムはどれくらい変わるかでは、芝は道悪でタイムが遅くなり、ダートは逆に速くなることを確認しました。同記事で1番人気の勝率や平均オッズも簡単に比較し、芝の道悪では荒れやすくなる傾向が見えていました。今回はその点をさらに掘り下げ、天気や開催日程も含めて波乱の起きやすさを整理してみます。
対象は2021〜2025年のJRA平地全レースです。荒れやすさの指標として、1番人気の勝率・複勝率と3連単の平均配当を使っています。
馬場状態別 — 全体では差が小さい
まず、芝・ダートを合わせた全体の数字です。
| 馬場状態 | レース数 | 1番人気勝率 | 1番人気複勝率 | 3連単平均配当 |
|---|---|---|---|---|
| 良 | 11,815 | 33.64% | 65.36% | 127,517円 |
| 稍重 | 2,794 | 33.68% | 65.21% | 132,126円 |
| 重 | 1,395 | 32.69% | 62.15% | 136,910円 |
| 不良 | 594 | 32.32% | 61.28% | 114,060円 |
良から不良まで、1番人気の勝率は約1ポイントしか変わりません。3連単の配当もほぼ横ばいです。一見すると「馬場状態は荒れやすさにあまり影響しない」ように見えますが、これは芝とダートを分けると大きく変わります。
芝の道悪は明確に荒れる
芝コースに限定した馬場状態別の成績です。
| 馬場状態 | レース数 | 1番人気勝率 | 1番人気複勝率 | 3連単平均配当 |
|---|---|---|---|---|
| 良 | 6,441 | 33.77% | 65.83% | 118,266円 |
| 稍重 | 1,219 | 31.99% | 64.15% | 150,260円 |
| 重 | 485 | 25.77% | 57.53% | 119,701円 |
| 不良 | 97 | 23.71% | 47.42% | 175,058円 |
良馬場の33.77%から重で25.77%(-8.00pt)、不良で23.71%(-10.06pt)と大幅に落ちています。複勝率も不良では47.42%と5割を切り、1番人気が3着以内に残れないケースが半数以上です。
3連単の平均配当は不良で175,058円と良馬場の約1.5倍。稍重でも150,260円と高めです。重は119,701円と良とほぼ同じですが、これは1番人気が飛んだ先が中穴に収まっているためかもしれません。勝率は大きく下がっているので、荒れてはいるが超大穴にはなりにくいという傾向です。
芝の不良はレース数が97と少なく、年によるばらつきの影響を受けやすい点には注意が必要です。ただ、良→稍重→重と段階的に勝率が落ちる傾向は一貫しています。
ダートの道悪はむしろ堅い
ダートコースに限定した結果です。
| 馬場状態 | レース数 | 1番人気勝率 | 1番人気複勝率 | 3連単平均配当 |
|---|---|---|---|---|
| 良 | 5,374 | 33.48% | 64.79% | 138,604円 |
| 稍重 | 1,575 | 34.98% | 66.03% | 118,091円 |
| 重 | 910 | 36.37% | 64.62% | 146,082円 |
| 不良 | 497 | 34.00% | 63.98% | 102,155円 |
芝とは正反対で、馬場が渋ると1番人気の勝率がむしろ上がっています。重馬場では36.37%と良馬場より約3ポイント高い結果です。
3連単の平均配当も不良で102,155円と最も低く、良馬場の138,604円より3.6万円ほど安くなっています。ダートの道悪は人気通りに決まりやすいということです。
馬場状態でタイムはどれくらい変わるかで確認したとおり、ダートは水分を含むと砂が締まって脚抜きがよくなります。走りやすくなることで実力差がそのまま結果に反映されやすいのでしょう。
全体で差が小さく見える理由
全体で差が小さかったのは、芝の「荒れやすくなる」傾向とダートの「堅くなる」傾向が打ち消し合っていたためです。馬場状態の影響を見るときは、芝とダートを分けて考えることが重要です。
天気別 — 意外と差はない
天気ごとの1番人気の成績です。
| 天気 | レース数 | 1番人気勝率 | 1番人気複勝率 | 3連単平均配当 |
|---|---|---|---|---|
| 晴 | 9,927 | 33.75% | 65.61% | 128,403円 |
| 曇 | 5,035 | 32.87% | 64.19% | 129,861円 |
| 小雨 | 795 | 34.09% | 65.28% | 124,379円 |
| 雨 | 822 | 34.31% | 61.07% | 128,624円 |
| 小雪 | 11 | 18.18% | 54.55% | 42,609円 |
| 雪 | 8 | 37.50% | 37.50% | 115,401円 |
晴・曇・小雨・雨ではほとんど差がありません。雨の日でも1番人気勝率は34.31%と晴れの日とほぼ同じです。複勝率はやや下がっている(61.07%)ものの、勝率自体には影響が見られません。
小雪(11レース)と雪(8レース)はサンプルが極めて少なく、傾向を読み取ることはできません。参考値としてください。
天気そのものより、天気の結果として変化する馬場状態のほうがレース結果に影響しているようです。雨が降っていても馬場がまだ良のままなら堅く、晴れていても前日の雨で馬場が重ければ荒れやすくなるということでしょう。
開催の前半と後半 — 芝の傷みは影響するか
競馬の開催は通常4週間(8日間)にわたって行われます。開催が進むにつれて芝が踏み荒らされ、コンディションが悪化する可能性があります。ただし、JRAでは「移動柵」と呼ばれる仮柵を内ラチ沿いに設置し、開催中に位置を変えることで芝の消耗を分散させています。移動柵の影響もあるため、単純に「後半は荒れる」とは限りません。
前半(1〜4日目)と後半(5日目以降)で1番人気の勝率を比較してみます。
芝
| 区分 | レース数 | 1番人気勝率 | 1番人気複勝率 | 3連単平均配当 |
|---|---|---|---|---|
| 前半 | 4,133 | 33.51% | 65.52% | 131,523円 |
| 後半 | 4,109 | 32.32% | 64.22% | 115,934円 |
後半は勝率が1.19ポイント低下しています。差はあるものの、馬場状態(重・不良)ほどの劇的な変化ではありません。3連単の平均配当はむしろ後半のほうが低くなっています。
ダート
| 区分 | レース数 | 1番人気勝率 | 1番人気複勝率 | 3連単平均配当 |
|---|---|---|---|---|
| 前半 | 4,155 | 33.84% | 64.91% | 126,249円 |
| 後半 | 4,201 | 34.37% | 65.01% | 140,441円 |
ダートは前半・後半でほぼ変わりません。ダートコースは芝のように踏み荒らされて劣化する性質がないため、当然の結果と言えます。
競馬場ごとに差がある
芝の前半・後半の差を競馬場別に見ると、ばらつきがあります。良馬場限定で比較しています。
| 競馬場 | 前半勝率 (n) | 後半勝率 (n) | 差 |
|---|---|---|---|
| 札幌 | 38.2% (212) | 30.6% (144) | -7.7 |
| 新潟 | 34.9% (393) | 30.5% (243) | -4.4 |
| 中京 | 34.4% (439) | 30.6% (307) | -3.8 |
| 京都 | 33.1% (236) | 30.6% (301) | -2.5 |
| 小倉 | 34.3% (283) | 32.1% (271) | -2.2 |
| 東京 | 39.0% (515) | 37.0% (630) | -2.0 |
| 福島 | 30.8% (302) | 30.5% (187) | -0.3 |
| 函館 | 32.2% (143) | 32.6% (178) | +0.4 |
| 阪神 | 33.5% (391) | 35.4% (458) | +1.9 |
| 中山 | 29.4% (395) | 34.6% (413) | +5.3 |
札幌(-7.7pt)、新潟(-4.4pt)、中京(-3.8pt)では後半に勝率が落ちる傾向が見えます。いずれも良馬場限定での数字なので、天気による馬場悪化ではなく、芝の消耗が影響している可能性があります。ただし、札幌は前半212レース・後半144レースとサンプルが少なく、年によるばらつきの影響は排除しきれません。
一方、中山(+5.3pt)と阪神(+1.9pt)は後半のほうが堅い結果です。開催後半に重賞などレベルの高いレースが組まれている影響や、移動柵による内ラチの位置変更が有利に働く馬を変えている可能性も考えられますが、明確な理由は特定できません。
全体として、開催の前半・後半による差は馬場状態(良/重/不良)の影響に比べると小さく、移動柵が芝の傷みを一定程度緩和していると考えられます。なお、開催が進むとタイムはどう変わるかでは、同じ良馬場でも開催後半には芝のタイムが遅くなることを確認しています。タイムへの影響はあるものの、荒れやすさへの影響は限定的ということになります。
まとめ
馬場状態の影響は芝とダートで大きく異なります。
- 芝の重・不良は荒れやすい: 1番人気勝率が良馬場から8〜10ポイント落ち、3連単の配当も上がる。道悪の芝は波乱含みと考えてよさそう
- ダートの道悪はむしろ堅い: 1番人気勝率が上がり、3連単配当は下がる。実力馬が順当に勝ちやすい
- 天気による差はほぼない: 荒れやすさに影響するのは天気ではなく馬場状態
- 開催の前半・後半: 芝は後半にやや荒れやすくなるが差は小さい。競馬場によってばらつきがあり、移動柵の効果もあるため一概には言えない
馬場状態の影響をタイムの観点から見た馬場状態でタイムはどれくらい変わるかや、レース条件別の荒れやすさを整理した1番人気が勝ちやすいレース、勝ちにくいレースもあわせてご覧ください。
本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。
本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。
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