馬番が奇数か偶数かで成績が違う

内枠・外枠の差はどこで生まれるのかを調べている途中で気づいたことが、もう1つあります。馬番が奇数か偶数かで、成績がわずかに違うようなのです。

集計の条件

  • 2021〜2025年のJRA平地レース、8〜18頭立て
  • 欠番のあるレースは除外(出走頭数と最大馬番が一致するものだけを使用)。馬番とゲートの位置を一致させるためです
  • 対象は208,278頭、約14,900レース
  • 誤差の範囲を統計的に求めて「±」で添えています。差がこの2倍を超えていれば、偶然では説明しにくいと考えてください

勝率と複勝率の両方を載せます。枠順は抽選で決まるので、奇数番と偶数番のあいだで馬の強さに差は生まれないはずです。

馬番ごとに見る

複勝率の期待値からのずれを、馬番ごとに並べました。期待値は3÷出走頭数です。

馬番別の複勝率 期待値からのずれ

1つおきに上下しています。 偶数番は9本中8本がプラス、奇数番は9本中7本がマイナスです。

奇数番偶数番
頭数106,521101,757
勝率のずれ−0.21+0.24+0.45 ± 0.11
複勝率のずれ−0.59+0.65+1.25 ± 0.18

偶数番のほうが良いという結果です。勝率で0.45ポイント、複勝率で1.25ポイント。どちらも誤差の2倍を超えています。

芝とダートに分けても同じ向きでした。

勝率の差複勝率の差
+0.61 ± 0.16+1.27 ± 0.26
ダート+0.30 ± 0.16+1.22 ± 0.25

それぞれのグラフも載せておきます。1場あたりの本数が半分になるので、上下は粗くなります。

芝 馬番別の複勝率 期待値からのずれ

芝は内枠のほうが高く、外枠は0より下に沈みます。その上下する水準の中で、交互の形が続いています。

ダート 馬番別の複勝率 期待値からのずれ

ダートは逆に右肩上がりです。外枠有利によるもので、前の記事で見たとおりです。その傾きの上に、交互の上下が乗っています。

2つを見比べると、有利な側のほうが差が大きいようです。各馬番の周りで複勝率が期待値より高いか低いかで分けて測りました。

不利な側有利な側
+1.16 ± 0.24+1.59 ± 0.25+0.43 ± 0.35
ダート+0.59 ± 0.22+1.49 ± 0.25+0.91 ± 0.33
合計+0.81 ± 0.17+1.55 ± 0.17+0.74 ± 0.24

芝は内枠が有利、ダートは外枠が有利なので、内外で見ると逆向きに見えます。有利不利で揃えると、どちらも同じ向きでした。芝だけでは誤差の範囲ですが、合計すると+0.74 ± 0.24で誤差の2倍を超えます。

ただし、有利な側は複勝率そのものも高いので、その分だけ差が大きく出る面もあります。

とはいえ、不利な側で+0.81、有利な側で+1.55です。どちらにしても1ポイント前後の話にとどまります。

なお、ダートの12番だけが+2.29 ± 0.52と飛び抜けています。ダートの奇数偶数差の3割ほどがこの馬番から来ていて、芝では出ません。少し気になるので、後日あらためて記事にする予定です。

馬番はゲートの位置でもあるので、奇数番(1, 3, 5…)は偶数番(2, 4, 6…)より平均して1つ分だけ内側になります。ただし内から外へのなだらかな傾向を差し引いても、複勝率の差は+1.10 ± 0.18とほとんど変わりませんでした。位置の違いでは説明できないようです。

ゲートに入る順番

調べてみると同じことを扱った記事がいくつかあり、ゲートに入る順番が理由として挙げられていました。

全馬が同時に入るわけではなく、決まった順番で入っていきます。

順番対象
1先入れ(枠入りが悪い履歴のある馬)
2奇数番
3偶数番
4大外

奇数番が先で、偶数番が後です。 先に入った馬は、そのぶん長くゲートの中で立って待つことになります。集計で良かったのは、待つ時間が短いほうの偶数番でした。

念のため出典を挙げておきます。JRA審判部の発走委員である長島隆樹氏は、netkeibaのコラムでこう説明しています。

まずは「先入れ」と言って枠入りが悪い履歴のある馬、その後に馬番が奇数番の馬、続けて偶数番の馬が入りますよね。最後に枠入れするのは、基本的に大外の馬となります。

なお、JRAが規則として公表しているものではなく、実務上の手順として説明されているものです。

最初のコーナーでの位置

では、先に入った馬には何か起きているのでしょうか。ゲートを出るところで差が付いているなら、レースの序盤の位置に表れるはずです。

最初のコーナーでの位置を見ました。順位を出走頭数で割って揃え、前にいるほどプラスになるようにしています。

馬番別 最初のコーナーでの位置

偶数番は9本すべてが、両隣の奇数番より前にいました。 全体では+1.53 ± 0.09で、誤差の2倍をはるかに超えています。

内から外へ下がっていく大きな傾きは、内枠のほうが前を取りやすいためです。その上に、きれいなギザギザが乗っています。芝で+1.69 ± 0.13、ダートで+1.39 ± 0.13と、どちらでも同じくらい出ました。

大きさにすると、14頭立てで0.2着分ほどです。奇数番が必ず後ろになるわけではなく、出遅れる馬がわずかに増えることで平均が下がっている、ということだと思われます。

クラスで分ける

クラスごとに分けました。最初のコーナーでの位置と、複勝率を並べています。

クラス位置の差複勝率の差
新馬+1.87 ± 0.32+0.62 ± 0.42
未勝利+1.58 ± 0.15+0.83 ± 0.19
1勝クラス+1.31 ± 0.18+1.64 ± 0.24
2勝クラス+1.34 ± 0.25+1.57 ± 0.33
3勝クラス+1.46 ± 0.35+1.86 ± 0.45
オープン+1.89 ± 0.31+0.90 ± 0.41

どのクラスでも偶数番のほうが良いという結果でした。

位置の差は+1.31から+1.89の範囲でほぼ均等です。上位クラスほどゲートが上手い、ということはなさそうです。

複勝率のほうは+0.62から+1.86までばらつきます。実力が拮抗しているレースほど、スタートの微妙な差が勝負を分けるということかもしれません。

まとめ

分かったことをまとめます。

  • 芝でもダートでも、偶数番のほうがわずかに有利。複勝率で+1.25 ± 0.18、勝率で+0.45 ± 0.11
  • 最初のコーナーの時点で、偶数番のほうが前にいる。奇数番のほうが出遅れる可能性がわずかに高いためだと思われます

奇数番と偶数番の違いは、ゲートで待つ時間の微妙な差だけです。馬の能力とも、コースの形とも関係のないところです。それでも20万頭を並べると、複勝率で1ポイントほどの差として表に出てきます。

こんなわずかなことで成績が変わってくるのは、本当に面白いと思います。

本記事の集計は、原則として 2021〜2025 年の JRA レースの公開データに基づいています。集計条件や計算式は記事中に明記していますが、データの集計や解釈に誤りがある可能性もありますので、あくまでも参考情報としてご覧ください。

本記事は馬券の購入を推奨・助言するものではありません。詳しくは About および プライバシーポリシー をご覧ください。

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